9月のオススメ

本の紹介

 今年も台風が日本列島を襲い、大きな被害が出ています。被害に遭われた方に心よりお見舞いを申し上げます。
 暑さ寒さも彼岸まで、の言葉通りに秋分の日をはさんで、急に秋らしくなりました。朝夕の冷え込みで体調を崩されないよう、どうぞお気をつけください…と書いて、今月も終盤になってからオススメをアップすることになったことに気づき、またまた反省です。申し訳ありません。
 今月も2冊ご紹介します。

 「きんいろあらし」 カズコ・G・ストーン作 福音館書店(こどものとも傑作集)
 
 この時期に読みたい1冊です。台風は私たちに自然の猛威を見せつけ、大きな爪痕を残します。文字通り、息を潜めるようにして嵐の通り過ぎるのを待ち、そして嵐の過ぎ去った後の様子を目にして、あらためてそのすさまじさを確認します。「きんいろあらし」は、やなぎむらを襲った秋の嵐。その時を、やなぎむらの住民たちはどのように過ごしたのでしょうか。
 
 カズコ・G・ストーンさんのやなぎむらのお話は、春夏秋冬のそれぞれをテーマに4作出ています。住人は、バッタ、ありの親子などの小さな虫たち。この作品は3作目にあたります。その後、お話はどんどん広がり、やなぎむらから、近隣の村々へと舞台が移り、現在、シリーズとしてはかなりの作品が出ていると思います。ドキドキする楽しいお話ですが、設定が細かく、読み聞かせをすると少し冗長に感じるかもしれません。以前おはなし会で読んだ時に、小さいお友だちが途中で飽きてしまったことがありました。やはり年長さんから小学校低学年くらいが一番楽しめるように思います。

 「おっとあぶない」 マンロー・リーフ作 わたなべしげお訳 学習研究社

 1968年に刊行された児童書、教訓たっぷりの本です。この本には様々な「まぬけ」たちが登場します。「〜まぬけ」と呼ばれる子どもたちのやっていることに心当たりのある子ども(大人も!)は、大勢いることでしょう。危険なこと、やってはいけないことを「〜してはいけません」と上から注意するのではなく、「〜したらどうなるのか」を考えさせる本でもあります。シンプルな「棒人間」風のイラストが強烈なインパクトを与えています。私事ですが、高校、大学に通う娘たちは、おひさまぶんこでこの本に出会い、十数年経ってもよく覚えている本、時々本棚から取り出す本でもあります。ぜひ手に取って見てください。
 
 このシリーズは他に2作、マンロー・リーフさんとわたなべしげおさんのコンビは他にもいくつか作品がありますので、ぜひそちらも探してみてくださいね。
 またこのシリーズは絶版になり、フェリシモ出版から復刊されています。復刊本は表紙の色がレンガ色になっています。おひさまぶんこにあるのは旧版のものなので、この写真も旧版のものを使用しました。